伝説のごとく生きる・エクストリーム
By Kurt Hurley
コンクリートウェーブマガジンのコーナーである「The Bridge / 橋」では、スケートボード界に一石を投じたスケーターを紹介する目的で立ち上げた物であり、現在2年ほど続いています。
今日取り上げる「Biker Sherlock・バイカー・シャローック」は「Dregs Skateboard / ドレッグス・スケートボード」のオーナーであると同時に、「Team Dregs / チーム・ドレッグスのリーダーでもあり、X Games のワールド・チャンピオンなど、様々なタイトルを持つ男であり、スケートボード界に多大な影響を与えた一人です。
彼はダウンヒル・スケートボードがどれだけエキサイティングなスポーツかを、一般大衆に伝えたく、NBC(アメリカの大手テレビ局)と単独交渉し、マルチスポーツ番組「Gravity Games グラビィティ・ゲームス」を作り上げました。そしてこれが後のダウンヒルに大きく影響を及ぼした事は誰もが認める事実であります。
バイカーはスケートボードのみならず、サーフィンも大好きで、ビッグウェイブ・サーファーとしてもその名を馳せており、サーフィンの大会などでは、選手をサポートするジェットスキーの運転なども請け負う一方、トラックでのレースに関してはずば抜けた才能を見せ、名のあるトラック・レーサー達から「スケートボードとサーフィンを辞めてトラックだけに絞れば必ずチャンピオンになれる」と太鼓判を押される程でした。
バイカーは間違いなく世界でも指折りのダウンヒル・スケートボーダーでした。幸運にも私は「Team Dregs / チーム・ドレッグス」に在籍中、バイカーとエイミーと世界を旅する事が出来、彼の人柄に触れる事が出来ました。彼はロックスター並みのカリスマを持ち合わせており、Sector 9 (セクター9)のSteve Lake (スティーブ・レイク)Gravity Skateboards(グラビティ)のMichale Bream(マイケル・ブリーム)を始め、多くの業界関係者が彼のキャリアに共感し、彼の死後も、そのスピリッツを引き継いでいます。
私がチーム・ドレッグスの副部長だった頃は、若い世代にバイカーの重要性を知ってもらおうとキャンペーンを開催したりもしました。また、70年代に一斉を風靡したロングボーダー「Brad Strandlund / ブラッド・ストランドラン」はバイカーのビジネス・パートナーでもありながら、バイカーをダウンヒルというスポーツに引き込んだ張本人であり、バイカーを語るには決して外せない人間の一人です。
有名なアスリートでいる事は、精神的にも肉体的にも大変です。毎試合、信じられないようなダメージを負うアメリカン・フットボールの選手やボクサー。ダウンヒルのレーサーもこれらの選手同様、大きなダメージを負う危険性と背中合わせでの毎日であり、バイカーも人並み以上にワイプアウトを経験した筈であり、これらの苦労や困難、精神的及び肉体的な苦痛は想像に難くありません。
バイカーには美しい妻(エイミー)、子供達、そして家族がいました。自分に子供が出来ると、人間誰しも価値観が大きく変わります。若い命に触れる事で、誰もが「愛」とは何かを、今一度学ぶのです。バイカーも例に漏れず二人の子供達(男の子2人)を心から愛しており、二人と沢山の時間を過ごしていました。
バイカーを失った喪失感は多くの人の中に存在します。バイカー、あなたのスケートボード業界への貢献に感謝します。ありがとう。
この記事は ConcreteWave Jan 2016 A Tribute To Michael BIKER Sherlock の抄訳です。