The Chubby Unicorn 長年の経験から得たデータ。制作過程での新しい試み、新規の材などを元に制作されたザ・チャビー(小太り)ユニコーンはフリースタイル、ダウンヒル、フリーライド、どんな場面でも夢のような乗り心地を提供してくれます。
チャビー・ユニコーンの誕生 チャビー・ユニコーンが誕生する迄には沢山の時間が費やされました。一番最初のダウンヒル専用ボード考案は(当時はダウンヒルのみを考慮してましたが、のちにフリーライドも可能なボードへと進化していきます)Ben Wood(ベン・ウッド)の制作したThe Owl(フクロウ)が原点になります。 The Owl Late 2004 The Owlは長いホイル・ベースをもち、ホイルがデッキに干渉しないよう大きくカットされてた。デッキに手書きされてるPast(過去)Future(未来)はBenによって書かれたもの。
しかし、その後Benはカンザス州の何処かへ消えてしまい、The Owlも進化せず、月日だけが流れました。 The Black Mamba 2006〜2008 2006年。Adam Colton(アダム・コルトン)、そしてLouis Pilloni(ルイス・ピロニ)の二人によって再びThe Owlを元にしたボードの制作がスタート。写真で判るよう、Benの発案した長いホイル・ベースとホイルがデッキに干渉しない為の大きなカットはそのまま残されています。
The Black Mambaに乗るアダム
at Bonelli 2007 これはまだトゥサイド・プリドリフトを誰も知らない頃 December 2007 オランガタンウィールはまだ未発売
これはジェームスのビデオです この時点で前に出る足の位置はフロント・トラックの真上が好ましいと考え、その位置にフェンダーを作り、足をロック出来るようにしました。しかし、このアイディアものちに立ち消え、又白紙からのスタートに、、。 The Chubby Unicorn Late 2009〜2012 この時期、自社のボードは無かったので、Comet Rayne LBL Roger Brothers など他社のボードを色々試しながら、沢山のデータを集めました。そしてそのお陰でようやくスペックの詳細が見えて来たのです。 散々試乗した中からアダムとKyle Chin(カイル・チン)はCometのVoodoo OGのナローデッキと心地よいロッカーを気に入ったものの、ホイルベースが長過ぎる事により、コーナーで路面をグリップする限界点が浅く、スライディングのコントロールが思うように出来ないうえ、思うように左右へ動けない事などに着眼。アダム達はマリブ在住のTadaichi NakayamaとCometのチームライダーDustin Hamptonの助けを得て、Voodooを27〜29インチのホイルベースにカットした。これはのちにダウンヒル・ボード全てがコンパクトになるきっかけであり、その後にComet社からリリースされたVoodoo Dollの誕生に大きく貢献した事は事実。 カスタマイズされたComet社のVoodoo OGに乗るカイルの映像 Let Go 実際に何百時間も乗る事のみで得る事の出来るデータの他、ミーティングも幾度もなく繰り返し、ようやく全貌が見えて来た感のあるThe Chubby Unicorn。 The Chubby Unicornのデザイン過程で、一番重視されたのはバランスと多能力。28.5のホイルベースは路面へのグリップ力とボードの動きの軽快さとのバランス、そして高速での安定感を考えセレクトされた。Black Mambaの振動抑制、The Race Boardのホイール・フェンダー・コンセプト、The Voodooのロッカーの先細りのプロファイル(形)、など、様々なボードから影響を受ける。その後、フリー・ライディングにより多くのフリー・スタイルを更に取り入れる事で、効率的なキックテールの開発が始まり、同時期チームR&DのErnie Delost(アーニー・デロスト)とMatt Nipperなどからも多くの影響を受け、それらがThe Chubby Unicorn の誕生へと繋がるのです。
Features & Design Length 42.25 Width 9.75 The Chubby Unicornのサイズは8インチ〜11インチの靴を履く男性を元に製造されています。足の指と、かかと部分がレイル部分に軽く接触する事により限界値をより明確に把握出来、乗ってる状態で左右の足の位置を入れ替える場合、それが最小の動きで可能なよう考えられています。 ボード幅は他メーカーのダウンヒル・ボードより若干細めであるものの、数々のテストを経てこのサイズはシルバーバックに乗らない人達に、一番良いサイズであるとの結論に達したのです。先細りのスタイルは前方方向へダウンヒルでは安定力を与える(殆どのライダーの足はデッキに対して45度かそれ以上の傾斜角にポジショニングされている) Wheelbase 28.25 24〜32迄と様々なサイズ、種類のダウンヒル・ボードを乗りつぎましたが、常に27〜29の枠に我々は戻ってきました。これは自然に足を広げた際、肩幅相当の距離であり、スライディングなどでは一番力のコントロールが出来るスタンスだと結論に達しました。 Kick Length 7 先からインナー・ボルト迄の距離 Weight 4.9lbs 2.3kg Features (主な特徴) Rockers ロッカー状のデッキは足の納まりが良く、スライディングなどでもぶれる事はありません。又その形状故、中心部のバランスを少しだけ地面に近づける事が出来るので安定感もアップ。スムーズな足さばきが可能になります。 Recessed Truck Mounts トラックはデッキにそのままマウントするのではなく、デッキに作られた凹状の部分にマウントしてあり、これにより重心を落とす事に成功。スライディングやドリフトなどでは桁違いの安定感を提供してくれます。トラックはニュートラルに座るようロッカー部分とはオフセットされています。 Intergrated Wheel Well Flares The Chubby Unicornのウィールウェル(脚室)はウィールがデッキのトップ部分の更に上迄クリアする事が可能。木がフレキシブルなので、これにより必要なクリアランスを提供。デッキのボトム側はウィール部分の干渉を防ぐ為、コンダート加工がなされた。 Concave 様々な形状のボードに乗り、あまりにも大きな凹凸(おうとつ)はボード・コントロールに対してマイナスに働く事に結論付き、マローな形状のほうが、コントロールしやすく、乗ってて一番心地よい事に着眼。結果The Chubby UnicornはマイルドなW Concave (W状の凹凸)を持つデッキとして仕上がったのです。 W Concave W Concave (W状の凹凸)には様々な利点があります。一つはデッキ自体の強度のアップ。W Concave (W状の凹凸)にする事でデッキを軽くする事も可能で、乗ってる時の安定感も上がります。 しかし、W Concave (W状の凹凸)なら全て良いと言う訳ではなく、The Chubby UnicornのW Concave (W状の凹凸)は足の土踏まず部分に対して形状が形成されており、サイド部分はコーナリングやスライディング時に足の指に力が入るようレイル状の凹凸がデザインされています。ハイスピードでのプリ・ドリフト時、これらはマックスのサポートを提供してくれます。 Symmetrical Shape 様々なタイプのダウンヒル用ボードを試して判った事は、殆どのボードがダウン・ヒル走行のみを考えられて制作されたものである事。それらはダウン・ヒルのみなら問題なくファンクションするが、スライドした際に前後を入れ替える場合は全く別のパフォーマンスで、我々をイライラさせるものであった。The Chubby Unicornのシンメトリックなスタイルはそれらを解消するものであります。 Nose & Tail Kicks 制作開始直後のキック・テールは短く、今はとはまったく違うデザインでした。これは当時ノーズとキック・テールを短くする方向で考えられてたからでもあります。しかし、フリー・スタイルのテスト走行を繰り返すうちに、やはり使えるキック・テールは必要との判断に成り、現在のデザインに成りました。 最終的なフォルムはウィールウェル(脚室)を越えたデッキのレール部分辺りから若干内側にカーブするラインにする事で、ボード・コントロールの限界値をマックス迄上げる事が出来、各自のセット・アップによりキック・フリップなども可能である。 Grab Rails デッキの下側には左右に2本ずつの溝が加工されています。外側の溝はスライド時又はヒール・ドリフト時に掴めるようデザインされており、内側の溝はセンターよりの深い所にあり、これはドリフトなどに入る前に手をスタンバイさせる位置部分にデザインされています。これらの溝はデッキの軽量化にも繋がっている事は言う迄もありません。 Griptape The Chubby Unicornに乗る際の様々なスタンスの事を考え、検討した結果、デッキの殆どの部分に足が移動する為、全てをカバーする以外に無いとの結論に達し、グリップ・テープに関してはボルトの頭部分以外は全てをカバーしています。 Flex & Damping ボードの制動力とフレックスビリティー(柔軟性)はローデッドの永遠の課題であります。ローデッドのこれまでのボードは、高速カービング用の合成は念頭に無く、どちらかというと標準スピードを軸に考えられていました。 しかし、The Chubby Unicornの開発では、ハイスピードのダウンヒルとフリーライドの両方に対応出来る制動力と柔軟性を持つデッキの制作が不可欠との結論に達し、様々な厚さのデッキをテストしました。 そして辿り着いたのが今回のデッキの厚さで、200ポンド(90.7kg)迄のライダーなら、スピードも問題なく出せ、尚かつボードのコントロールも十分に可能で、柔軟性がある為、路面からのバイブレーションも抑える効果もあります。 UHMW Base The Chubby Unicornはバス・ウッドの上からポリエチレンを塗り、材を密封してあります。この分子はスノーボードなどにも使われているもので、これにより、材を外気、湿度、摩損などから保護すると同時に、ウィール、トラック、ベアリングなどから伝わる路面からの振動をフィルターし、大幅に減少させる事に成功しました。 Urethane Sidewall The Chubby Unicornはウレタン性のサイド・ウォールを装備しています。ウレタンは材(バス・ウッド)の回りに流し込まれ、やがて固まり、デッキの回りにサイド・ウォールが形成されます。 このサイド・ウォール加工により、路面からのバイブレーションを更に抑えるだけではなく、デッキの寿命を大幅に伸ばすのにも一役買っています。また、走行中にボードから落ち、ボードが30マイル(時速48.28km)でカーブサイドにぶつかっても、サイド・ウォールのお陰でデッキへのダメージは最小限に防ぐ事が出来るのです。
Process コンセプトの段階で、既にかなり完成度の高い物を見据えてましたので、The Chubby Unicorn完成迄の道のりは決して楽な物ではありませんでした。様々なソフトウェアを試したりしましたが、複雑な輪郭を3Dデザインに置き換えるには、社内で新しいプログラムを制作し、2Dフォーマットに起こした物をゲーム制作会社などが使う方法で3Dに起こす方法でデザインを完成させる事が出来たのです。
Construction & Production The Chubby Unicornの構造は3層のエポキシ(樹脂)で外皮を剥がしたバスウッドを挟み込み、それをウレタンのウオールで囲まれています。従来の方法と強度、重量などを比較した結果、軽量化出来るため、乗り心地からジメジメ感も消す事に成功しました。 構造が決まった所で、今度はこのややこしい構造を量産出来るか?に疑問は移行。又、型から外された時に起こる材の変形をどのように対処するか?など、生産ラインに載せる迄にはまだまだ解決せねばならない難題は続いたのです。 最終的にはデザインはデビット・スキャナーというレーザーのスキャナーを使用。これはデザインを沢山の点によって表す物で、このスキャナーにより、詳細なデザインを仕上げる事が出来た。
Naming the Beast The Chubby Unicornは完成迄にかかった時間があまりにも長くかかった為、途中、幾度かプロト・タイプをメディアへ露出したりもした事により「神話に出てくるようなディメンション(寸法)」との噂が立ち始め、それを受けて最初は「Unicorn in House」と呼んでたのだが、当時のプロト・タイプがワイドだった為(プロト・タイプの物は現在の物より更にワイドなデッキだった)Chubby(小太り)の名前が足され「Chubby Unicorn」に成ったのである。 Graphics The Chubby Unicornに描かれてる太ったユニコーンはRobbie Lee氏による物でshirt.woot.com用に描かれた物だった。才能豊かなロビーとコラボで来た事は大変嬉しく、関係者への感謝は言葉では言い表せません。 ユニコーン以外のデッキはグレーのラインで覆われており、これらのラインは A. 蛇のお腹部分 B. 人工の木目 にも見えるようです。